めっくろぐ

mechlog - メモ帳

大型二種 教習10日目

応急救護講習(実技)

雨ですが,お外では元気にけん引が走っています.

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けん引は,バック課題で,窓から頭を出して後方確認するので,雨降りでの教習はずぶ濡れになります.ガンバって!

 

私は昨日の続きで,4時間の応急救護です.

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この練習台,中にセンサが入っており,正しいポジションを適切なペースで心臓マッサージ出来ているか判定してくれる仕様になっています.手を抜くとバレます.

自分の家族を助けるつもりで,一連の動作を体で覚えて帰って下さい,と言われ,心臓マッサージの練習を何セットかやりました.真剣にやると,2分続けるのでも辛い.

 

人工呼吸は,  溺れた人を助ける場面以外では,あまり効果がないそうです.感染症の危険もあるので,無理に人工呼吸をする必要はないとのこと.

倒れている人を見かけたら,取り敢えず心臓マッサージをすることが肝要だそうです.

 

山道での運転

地域特性に合わせた特別項目ということで,山道を運転します.

エンジンブレーキや,その強化版である排気ブレーキを使って,下り坂を走ります.

www.isuzu.co.jp

 

大型車で怖いのは,下り勾配で止まれなくなってしまうこと.

記憶に新しいのは軽井沢のスキーバス事故でしょう.

www.nhk.or.jp

 

スキーバス事故については,教習中も何度か話題になりました.

エンジンブレーキを効果的に使うには,下り勾配が始まる前に,しっかりとシフトダウンをしたうえで,排気ブレーキをONにしなければなりません.

 

この事故の場合,十分に減速しないまま下り勾配区間に進入し,後からシフトダウンを試みたもののギアが入らず,エンジンブレーキが全く利かなくなり事故に至ったのではないか,と言われています.

 

真っ暗な峠道で,気が付かないまま下り坂に入ってしまい,どうしようもなくなった...と想像するだけで怖ろしい.

オートマならギアが入らなくなるという事故は起こらないでしょうから,そういった技術の普及を期待したいところです.

 

街路樹が怖い

普通車だったら,車線に収まるように走っていれば何の問題もありません.

しかしバスだと,高さが3mもあるので,油断していると街路樹の伸びた枝とサイドミラーが接触します.多少のことではバスに傷は付きませんが,検定では危険行為として中止になる場合もあります.客の立場になってみれば,窓にガサガサと枝が当たっていたら,いい気持ちはしませんよね.

 

街路樹が最も厄介になるのは,路端停車のときです.

路端停車は,バス停を想定した課題で,

「次の電柱に合わせて止めて」と指導員に言われたら,バスの中扉に電柱が合うように停車させます.

うまく街路樹を避けながら路肩に寄せられるコースを瞬時に判断し,

安全確認をしながら,

車体と縁石を平行にして,電柱と 中扉を合わせるのは,かなり難易度が高い操作です.

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 ↑街灯に合わせて止めて,と言われてるであろう様子を目撃

 

「都会だとバス停の前後に駐車車両が居たりして,もっと大変だよ」

と指導員氏.駐車車両が発進したり,陰から横断者が出てきたり,様々な危険が潜んでいるそうです.

 

教習10日目まで来ましたが,大型二種の免許を取ること自体は,クルマの運転が好きな人なら誰にでも出来るように思います.じゃあ,バス運転士が誰にでも務まるかというと,それは全く別の話でしょう.

教習では毎日2時間ぐらい空車のバスを走らせるだけですが,

実際の業務では,連日,お客様を乗せたバスを1日中走らせるわけで,その間,常に集中を保ち,安全に気を配り,接客業としてのサービスもしなければならない.

向き不向きの差が大きく出る職業だと思いますし,自分自身の性格を振り返って,絶対に無理だと感じる今日この頃です.

 

大型二種 教習9日目

トルクが太いディーゼルエンジン

路上は,今日も2時間連続で走ります.そして,早くも卒業検定のコースを巡って確認していきます.

所内と違って落ち着いて変速できるので,

変速ショックが少なくなったように感じます.

 

一般的に大型車は,発進時は2速を使うように設計されているので,

このバスは5速MT車ですが,普段は実質4速で走ることになります.

 

2速は,発進してからタイヤが1,2回転ぐらいするまでしか使いません.

ちょっと動いたらすぐに3速に入れいます.

そして,エンジンの回転数が1500 rpm 近くになったら4速へ.

2~4速は近いギア比で設定されており,

市街地ではこの3つのギアを使うことが基本になります.

 

5速だけは,4速以下よりも大きめのステップでギア比が設定されているので,

教習中は,空いてるバイパスで50 km/h 出す時しか使いません.

 

もう一つ,路上に出てみて感じるようになったことは,

エンジンのトルクの太さです.

坂道等でスピードが落ちてきて,普通MT車だったらギアを一段落として再加速するような場面でも,

このクルマは,アクセルを踏み込むだけでグイグイ加速していきます.

この,ディーゼルエンジンの力強さには感動しました.

もう普通のガソリン車には戻れない気さえします(笑)

 

バスの装備

お気に入りの装備をご紹介. 

 

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ホイールパーク.大型車用の強力なサイドブレーキです.

フットブレーキと共通のドラムブレーキをスプリングで動作させています.

圧縮空気が入るとブレーキが解除される,フェールセーフ機構になっており,

故障等でエア漏れが起こると,ブレーキが解除できなくなります.電車と同じですね.

レバーを上げてブレーキを掛けると,盛大にエアーが抜ける音がして楽しい.

 

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フィンガーシフト!

バスのシフトレバーは,トランスミッションとは機械的な接続がされておらず,電気的なスイッチになっています.これがフィンガーシフトです.

実際の変速は,ここから発せられた電気信号を基に,エアによって動作するようになっています.元祖・ドライブ・バイ・ワイヤですね.

 

バスのミッションは車体後端に載っているので,

大昔のバスでは,レバーとミッションをとんでもなく長いロッドでつなぐ必要があり,レバーは重く,変速操作は重労働だったそうです.

フィンガーシフトのおかげでロッドを廃することができ,ノンステップバスも可能になったのです.

 

操作感は,フツーのMT車と比べてかなり違います.

「ガコっガコっ,入らん!」なんてことは起こらず,軽いタッチで扱えます.

一方,僅かですが応答遅れがあるため,変速操作はワンテンポ遅くなります.

また,ギアが完全に入るまでは内部アクチュエータによってシフトレバーから反力が生じる機構になっており,触覚でギアが入ったかどうか分かるようになっています.

www.youtube.com

↑教習車と同じ,三菱製ですね.

これ,本当に好きになってしまいました.操作時のメカっぽさが素敵です.将来買うクルマにはフィンガーシフトを付けたい.

 

先急ぎ運転

タクシーを想定して,お客様からせかされたときの運転行動を考える,という内容です.

追い越ししたりスピード違反したりして運転しても,普通に運転しても,同じ経路では時間は殆ど変わらないよね,ということをシミュレータで確認できるはずなのですが,

トラックに追突されるなど,先急ぎに関係ない事故が起こるようになっており,所要時間の比較が出来ないという,謎仕様のシミュレータでした...

 

応急救護講習(座学)

応急救護は,普通一種の教習では3時限やるところを,普通,中型,大型二種の教習では倍の6時限もやります.

免許制度に関する話をすると,

一発試験で普通,中型,大型二種のいずれかに初めて受かった場合は,応急救護講習を受講しなければ,免許は交付されません.

しかし,私が持っている大特,けん引二種は,こうした取得時の講習がありません.そのため,大特,けん引二種を持っていて学科がほぼ免除の私も,応急救護は受講しなければならないのです.

↑ 教習中に話をした指導員で,このことを知らない方もいらっしゃいました.大型二種まで取り終わってから,最後の仕上げとして大特二種,けん引二種を取りに行くのが定石なので,この制度を知らない方がフツーでしょう.

 

そんなこんなで,応急救護の前半戦として,今日は2時限分の座学を受けます.

 

こうした残念な事故もあったばかりなので,死戦期呼吸の話なんかも織り交ぜながらの講義でした.

headlines.yahoo.co.jp

 

AEDは,診断機能付きの機械なので,意識がはっきりしない人が居たら迷わず使えばいいはずなのですが,,,社会的にまだ浸透してないのでしょうね.

大型二種 教習8日目

大型二種免許完全合格マニュアル

大型二種免許完全合格マニュアル

 

 

修了検定

朝から本格的に雨が降っています.不吉な予感...

説明を受けた後,さっそく検定開始です.

待合室のちょうど目の前にクランクコースがあり,前の受検者の走行の様子がよく見えるのですが,

なんと先頭バッターがいきなりクランクで脱輪・検定中止に…

 

縁石に乗り上げてしまった場合,直ぐに停止して乗り上げる以前の位置まで戻ってやり直せば減点で済みますが,

そのまま前進して乗り越してしまうと,検定中止になってしまいます.

1番さんは,内側の後輪を気にするあまり,前輪が乗り上げているのに気づかずに行ってしまったようでした.タイヤ径が大きいバスは,縁石ぐらいなら簡単に乗り越えてしまうのですよ.

 

その緊張がどんどん次の受検者に伝わっているようでした.次番者はバスの後ろに乗り込み検定に立ち会いますが,私の前の受検者も,全く同じ場所で同じように脱輪,検定中止.

 

直前でそんな様子を見ていれば,緊張は高まってしまいます.中止事項に該当しないように完走さえすれば何とかなるだろう,と落ち着かせて臨みます.

 

しかし,慎重になりすぎ,教習ではやらなかったようなミスを連発.
路端停車は今まで失敗したことがなかったのですが,ポールにぶつけたら中止だ,と意識しすぎるあまり,路端と車体との間隔が空きすぎてしまい,検定員に「幅寄せしてやり直して」と言われる始末…

 

ブルーな気持ちを引きずりながら,問題のクランクへ.

1つ目の角はしっかり曲がれましたが,2つめの角で早くハンドルを切りすぎたようで,ミラー越しに見ると,内側縁石と後輪が接しそうです.安全策と思い,切り返しをしますが,今度は前のスペースが足りなくなりミラーがポールに当たりそうに.やむなく2度目の切り返しで,外側前輪と縁石が1cmも空いていないような状況をムリヤリ押し切り,なんとか通過しました.

 

もうダメなんじゃないかと思いながらも,そのあとの隘路は一発で決め,発着点へ.検定員に完了を告げ下車しますが,外から見ると,縁石と全然平行になってないし,また隙間が空きすぎた!

 

合否も分らぬまま仮免許の申請手続きをさせられます.ここでまた難関,深視力検査です.どうしてか,私は深視力が異常に苦手です.全然合ってない状態で何度もボタンを押してしまい,指導員が明らかに不機嫌になっていくのを犇々と感じ,焦ってどんどん合わなくなっていきます.数回やってもらい何とか基準値内に収めました.

 

もう完全に憂鬱な気持ちで待っていると,大型二種の受検者だけ呼び出されて合格発表.検定員からあっさりと合格と告げられました.コメントは,

  • クランクは,車両を前に出してからハンドルを切った方がいいね
  • 路端停車は,課題として意味が無くなっちゃうくらい隙間が空いていた

と予想通りの点を指摘されましたが,あとは何も言われませんでした.
試験場では警察官から5つも6つも指摘を受けるのが常なので,拍子抜け.

とにかく合格なので,午後は路上デビューです.こんなことで大丈夫なのだろうか…

 

路上へ

午後,仮免許が届きました.

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さっそく教習です.

第二段階の初回なので,出発前点検について教わります.

ハンマで叩いて,タイヤのエア抜けやナットの緩みがないか確認します.また,リアのエンジンルームを開けてみたり,エアタンクのドレーンを開けて結露による水が溜まっていないかチェックしたり,

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各所のオイル量は十分か確認するなど,バス独特の装備をチェックして回ります.

 

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素敵な文字が入ったプレートを掲げて出発です.

 

教習所を出ると直ぐにキツイ上り勾配の路地があり,アクセルをかなり踏み込んで登っていきます.

そして国道に合流.
「制限50km/hだからもっと出して」と言われるので,どんどんアクセルを踏み込んでシフトアップしていきますが,開始10秒で死を悟りました….

運転席から見ると,車線幅と車体幅がほぼ同じに見えます.何かの拍子にハンドル操作を誤ったら…と考えてしまい冷汗が止まりません.しばらくの間は,左右のサイドミラーをチラチラ見て,車線に収まるように走るだけで精一杯でした.

ギアも,所内とは違い,発進後はあっという間に4速まで上げることができます.ギア比は,2,3,4速はかなりローよりに設定されていて,5速だけかなり高めに設定されているという感じで,目安として1500回転を超えないように走っていきます.

今朝検定があったにも関わらず,初っ端から3時限分きっちり詰められており,2,3限目も連続で路上教習です.走りながら,公道上でのルールを少しずつ教わっていきます.まず,車線上での位置取りからして難しく,状況や場所によって,この白線は踏んでもいい,この白線は絶対にはみ出してはいけない,というようなことを言われます.

 

そして,難関は交差点での右左折です.
車体が大きいバスは,対向車線にまではみ出さなければ曲がれないことが多々あるので,曲がった先に停止線を守らない一般車がいると,↓(参考)

www.youtube.com

 

さらに,路端停車でもやりましたが,曲がる方向と反対側へ車体後端がはみ出していくので,しっかりと確認しなければ事故になります↓(参考)

www.youtube.com

はみ出していく方を確認することを,「振り出し確認」と呼びます.

振り出し確認のように,曲がっていく方向以外にも目を向けなければならないのが,大型車の右左折なのです.

 

3限目は,とっぷりと日が暮れた上に雨も激しくなるという悪条件下でしたが,国道を飛ばしてちょっとした峠を越え,隣町の道の駅まで行き,さらに真っ暗な農道を 40km/h で突き進むという,内容がてんこ盛りの教習.

 

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長い一日でした.