『モビリティサービス』移動の歴史と最先端を知る書籍
コロナ社さまより,新刊『モビリティサービス』をご提供頂きましたので,
簡単ですが感想を書かせて頂きました.
コロナ社さまよりモニター本を頂戴しましたので、僭越ながらレビューを書かせて頂きました
— めっくろぐ (@mech_log) 2020年5月11日
ありがとうございます https://t.co/qBQn0R3M7D pic.twitter.com/peakx5LBSY
近年,自動車業界を中心に『CASE』化が叫ばれていますが,
それに関連する知見や名古屋大学COI事業での研究成果が,
『モビリティイノベーションシリーズ』として,本書を含む5巻で刊行されるそうです.
本書は第1巻として,
S:(Servicized または Share & Service)に焦点をあて,
人類史における移動の価値・意味を振り返ることから出発し,
モビリティサービスの全体像が紹介されています.
1章から3章までは,車輪の発明から自動車社会の発展まで,「移動」の歴史がまとめられています.
モビリティのサービス化というと,『MaaS』が流行り言葉で,
最近では大企業,ベンチャー,大学などで,様々な商品や実証などが乱立しています.
こうしたなかで,本書を通して移動の歴史を振り返ってみると,
いつの時代も,人類にとって移動は重要な営みであり,
移動手段の変革が,新たな移動サービスを生み出し,社会構造も変わる,ということは,これまでもずっと繰り返されてきたのだと認識させられます.
MaaSに分類される商品・技術開発をしていく人であれば,こうした過去を知り,
人類にとっての移動の価値を冷静に見つめることを一度やっておくべきではないかと思いました.
4章から6章では,パーソナルモビリティやMaaS,物流サービスなど,
近年注目を集めている分野が概説されています.
これらの発展途上のトピックについて整理して記述された書物は,
これまであまり多くなかったと思います.
例えば,4章ではパーソナルモビリティについて取り上げられていて
トヨタi-ROADのような1~2人乗りの3輪車が登場しますが,
これらのダイナミクスなど技術的な解説は,興味深かったです.
特に,こうしたテーマに新たに取り組むことになった人は,
まずこれらの章を読み,さらに各章末の参考文献から論文等を深堀していくと,
最新の動向を効率よくフォローでき,入りやすいのではないかと思いました.